AIチャットサービス「zeta」で、VTuberグループ・にじさんじに関連するユーザー制作コンテンツ「プロット」の全面的な削除が進められている。運営するzetaが10月12日に発表したところによると、にじさんじを運営するANYCOLOR株式会社から無断使用の報告と削除要請を受けたものだ。日本の登録ユーザーが400万人を超えるサービスで、報道ポストは1万2,000いいねを超え、Xの投稿は5日間で約245件に達した。
削除そのものを支持する声と、手続きの見え方を疑問視する声が同じタイミングで並んでいる。この記事では、公式発表の内容と、賛否がどこで割れているかを整理する。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス | zeta(AIチャット) |
| 開発・運営 | Scatter Lab(韓国のAI企業) |
| リリース | 2024年5月正式リリース |
| 日本の登録ユーザー | 400万人超(KAI-YOU報道) |
| 公式発表 | 2026年10月12日「『にじさんじ』関連コンテンツの無断使用に関するご案内」 |
| 削除対象 | ANYCOLORが権利を有する「にじさんじ」関連のキャラクター名・画像・設定を無許可で使用するプロット |
| 今後の方針 | 権利者の許可なく使用が確認された場合は事前の予告なく削除、作成者への利用制限などの措置もありうる |

10月12日の公式発表と、その後の流れ
- 10月12日: zetaが公式お知らせを公開。ANYCOLORから「にじさんじ」関連コンテンツの無断使用について報告を受け、許可なく使用しているプロットの全面的な削除要請があったと明かした
- 同日以降: 該当プロットの削除対応が進められる。キャラクター名・画像・設定の無許可使用が対象
- 10月13日: KAI-YOUが報道。報道ポストは1万2,000いいねを超えた
- 10月14日〜16日: 削除の通知内容や網羅性を問う投稿が増え、Xでの議論が続く
- 10月15日〜16日: 知恵袋にも「zetaでにじさんじのプロットができなくなった」という質問が2日連続で掲載された
公式発表には、ユーザーへの要請も含まれていた。「予期せぬ不利益を避けるため、速やかに該当するプロットを削除するなど、自主的な対応をお願いいたします」として、削除対象を作っている人に自主的な対応を求めている。

論点1:対立の構造は「ルール」ではなく「手続き」にある
Xの反応を読むと、削除の是非そのものより、削除のプロセスへの疑問が濃い。
削除を支持する側は、既存ルールを挙げる。「zetaはそもそも版権作品のキャラクターを使ったプロット禁止してるのに、今回のにじさんじのプロット削除の件でキレてる奴は自分がルール破ってた自覚持ってくれ」という投稿は814いいねを集め、「アラサーでも何が悪いのか理解せずに悪態ついてる」という投稿は964いいねに達した。つまり、ルールが最初からあった以上、権利者に削除を求められたのは想定内だという見方だ。
一方、疑問を呈する側が指摘するのは手続きの見え方だ。「以前からの管理体制も含めて疑問がある。削除されたプロットの通知に『通報者: にじさんじ』とだけ書かれていると権利(侵害の内容が確認できない)」という投稿が268いいねを集めた。削除の通知に違反内容の説明がなく、ユーザーが自分のプロットがどの点で問題だったのか分からない、という指摘だ。設定集(旧ロアブック)は残ったままという観測や、「チャチャ(競合サービス)はいいの?なんかにじさんじのプロット増えてる気がする」という投稿もあり、削除の網羅性を疑う声も出ている。
ここから読み取れるのは、権利保護の方向性そのものへの反対は少数派で、問題は「どの基準で、どこまで透明に削除するか」という手続きの設計だということだ。ルールを守る立場でも、自分の作品が消える理由が分からない体験には納得できない。

論点2:プロットを作っていたユーザーの選択肢
公式発表を受けて、にじさんじ関連のプロットを作っていた人が取れる道は3つに整理できる。
自主的に削除する。公式は「予期せぬ不利益を避けるため」の自主的な対応を求めている。今後は事前の予告なく削除し、作成者への利用制限などの措置が講じられる可能性が明示されているため、アカウントを続ける意思があるなら、公式が示した選択肢に従うのがリスクの小さい道だ。
現状を確認して対応を決める。削除の通知に詳細が表示されないままの報告があるため、自分のプロットが対象かどうかの確認は実態ベースで行うしかない。名前にライバー名を使っている、外見の設定を再現している、といった項目は発表文の「キャラクター名、画像、設定」に該当しやすい。
作るものをオリジナルに寄せる。zetaの魅力は「簡単なキャラクター作成」と「自由なロールプレイ」であり、オリジナルキャラなら今回の削除対象にはならない。版権プロットを作っていた層の創作意欲を、どこに向けるかはユーザー自身の選択になる。競合サービスへの移行を検討する投稿も見られたが、別サービスで版権プロットを作れば同じ問題が起きる構造自体は変わらない。
なお、韓国ではウェブトゥーン関連企業がzeta運営元を著作権法違反幇助の疑いで告訴したと紹介する投稿も見られたが、この件は日本語の報道を確認できていないため、現時点ではうわさとして扱うのが正確だ。
論点3:AIチャットと権利者は、これからどう付き合うのか
今回の騒動が示したのは、AIキャラクター サービスとコンテンツ権利者の関係が、誰でも分かる形で動き始めたことだ。
zetaの公式発表は「権利者からの要請に基づき」という形でANYCOLORの要請に応じ、今後の予告なし削除と利用制限も示唆した。権利者側は無断使用を黙認しない姿勢を明確にした。この関係が成立した以上、他の権利者が同様の要請を出す可能性は残るし、サービス側は初めから権利リスクの低いコンテンツ運用に寄せる誘因を持つ。ユーザーが拠り所にできるのは、通知の透明性が今後どう改善されるかという一点に近い。
ユーザーにとっての変化は、二次創作プロットというジャンルが、この手のサービスで「いつ消えてもおかしくないもの」になったことだ。オリジナルのキャラクターを作る文化がサービス内で育つか、版権を扱える別の仕組みが登場するか。今回の削除対応と通知の設計は、その分岐の最初の事例として、今後のAIキャラクター サービスでも参照される可能性がある。
X(旧Twitter)での反応
10月13日以降、Xには支持と疑問が混ざって並んだ。
KAI-YOUの報道ポスト。1万2,000いいねを超え、話題の規模を示した。
「ルール破ってた自覚持ってくれ」と、既存ルールを根拠に削除を支持する投稿。814いいね。
年齢に関係なく「何が悪いのか理解せずに悪態つく」層を批判する投稿。964いいね。
「版権プロット作ってたバカたちのせいでこの削除祭り」と、騒ぎの発端を作り側に求める投稿。
削除通知の「通報者」表示の透明性を疑問視する投稿。268いいね。手続きの議論の中心だ。
設定集(旧ロアブック)が残ることへの違和感を指摘する投稿。削除の網羅性が問われている。
競合サービスではにじさんじのプロットが増えているとの観測を投稿。削除の実効性への疑問だ。
「判断するのは権利元」と冷静に整理する投稿。BANの可能性にも言及している。
韓国での告訴の動きを紹介する投稿。241いいね。日本語報道は現時点で確認できていない。
立場別・対応の目安
:::check 立場から選ぶ
- にじさんじ関連のプロットを作っていた:公式が自主的な対応を求めている。予告なし削除と利用制限の可能性が明示されている
- リスナーとしてロールプレイを楽しんでいた:対象プロットの削除後は、配信アーカイブや公式コンテンツが代替になる
- オリジナルキャラの制作者:今回の削除対象には該当しない。引き続き作れる
- 通知の透明性に関心がある:公式お知らせの今後の更新と、実際の通知表示を比較して判断する材料になる
- 他サービスを検討:移行しても版権プロットの権利リスク自体は消えない
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よくある質問
Qなぜにじさんじのプロットが削除されるのですか?
zetaの公式発表によると、ANYCOLORから「にじさんじ」関連コンテンツの無断使用について報告と全面的な削除要請があったためです。キャラクター名・画像・設定の無許可使用が対象とされています。
Q自分のプロットが対象かどうか分からない場合は?
公式は自主的な削除を求めています。名前にライバー名を使う、外見や設定を再現するといった項目は発表文の対象に該当しやすいです。削除の通知に詳細が表示されないという報告もあるため、迷う場合は自主対応がリスクの小さい選択です。
Qzetaの登録ユーザーはどのくらいいますか?
KAI-YOUの報道では日本の登録ユーザーが400万人超とされています。今回の削除はその規模のサービスで行われた対応です。
Q今後も削除は続きますか?
公式は「事前の予告なく該当するプロットを削除し、作成者に対する利用制限などの措置を講じる場合がございます」と明示しています。
Qオリジナルキャラクターのプロットは大丈夫ですか?
今回の削除対象はANYCOLORが権利を有するコンテンツの無許可使用です。オリジナルのキャラクターはこれに該当しません。
まとめ:削除の是非より、手続きの見え方が問われた事件
| 読者の立場 | この記事から取る行動 |
|---|---|
| にじさんじ関連のプロット制作者 | 公式の要請に沿って自主対応するか、事前予告なし削除のリスクを確認する |
| リスナー | アーカイブや公式コンテンツで楽しみ方を確保する |
| オリジナル制作者 | 該当しない。ただし他の版権での消費は同じ構造を抱える |
1万2,000いいねの報道が示す規模の削除ながら、支持と疑問が同じくらい集まった理由は、削除そのものではなく通知と基準の見え方にある。権利保護とユーザーの予見可能性を両立できるかは、今回の対応が示した水準を他のサービスがどう参照するかにかかっている。
出典・参照
- zeta「【お知らせ】『にじさんじ』関連コンテンツの無断使用に関するご案内」(2026年10月12日)https://zeta-ai.io/ja/announcements/13366
- KAI-YOU「AIキャラ会話サービス『zeta』でにじさんじVTuberを無断生成 ANYCOLOR社が削除要請」(2026年10月13日)https://kai-you.net/article/96808


